便秘に悩んでいる方の中には、これまで試した便秘薬は、服用するとお腹が痛くなった経験がある方も多いかと思います。この腹痛が怖くて便秘薬が飲めない方もいらっしゃるかもしれません。そんな方は漢方薬を試してみるのはいかがでしょうか？ 便秘薬でお腹が痛くなる理由や、便秘に効果がある漢方などをご紹介しましょう。
便秘薬でお腹が痛くなるのは仕方ない？
まずは、なぜ便秘薬でお腹が痛くなるのかを知っておきましょう。薬と体質が合う合わない部分もありますが、一般的にお腹が痛くなるには理由があります。
お腹が痛くなるのは刺激性下剤配合薬
便秘に効果が期待できる薬には、いくつかの種類があります。この種類の中で、とくに痛みを伴う可能性が高いのが「刺激性下剤」といわれる成分を含んだ便秘薬です。
とくに痛みを伴うとされているのが、「ビサコジル」という成分を含んだ便秘薬です。ビサコジルは結腸や直腸の副交感神経を刺激し、大腸のぜん動運動を活性化させる効果が期待できます。言い方を変えると無理やり大腸を働かせるため、腹痛が発生することが多々あります。
お腹が痛くなる薬のほうが効く？
便秘を解消させるために、腹痛まで起こすのですから、当然それだけ効果が期待できると思いたいところです。しかし、便秘の原因によっては、お腹が痛くなるからといって効果があるとは限りません。
薬の効果は便秘の原因を特定し、その原因を解消できるかどうかで大きく変わってきます。お腹が痛くなるから効くわけではありませんので注意しましょう。
漢方薬ならお腹は痛くならない？
漢方薬と聞くと、成分が自然由来であり、即効性はないものの体に優しい薬というイメージがあるかもしれません。しかし、漢方薬を謳っていても、腹痛を伴う便秘薬はあります。
ダイオウは痛みを伴う
漢方薬の便秘薬の成分で多く見かけるのが「ダイオウ」という成分です。便秘に効く処方漢方としては有名な「大黄甘草湯」の一部であり、タデ科の植物の根を乾燥させたものです。
ダイオウはいわゆる下剤ですが、摂取量によっては止瀉薬にもなるという成分なので、多くの漢方薬に配合されています。ダイオウ配合の便秘薬は、ある程度の腹痛が伴うものが多く、妊婦さんには推奨できないものが多いのでご注意ください。
センナの成分表記に注意
同じく腹痛を伴うといわれている漢方の成分が「センナ」です。センナは欧州由来の成分で、センナという植物の葉や実から抽出されます。大腸の中にある腸内細菌によって働きが活性化され、大腸の働きを刺激する刺激性下剤の一種です。
センナの場合に注意すべきは成分表記です。単純にセンナと書いてある場合もありますが、「センノシド」、「センノシドカルシウム」などという表記の場合もありますのでご注意ください。
痛みを伴わない漢方薬
漢方薬でも便秘に効果があるといわれている薬の多くにダイオウやセンナが含まれています。痛みが伴う薬は避けたい方にオススメの漢方薬をご紹介しましょう。
桂枝加芍薬湯（けいしかしゃくやくとう）
桂枝加芍薬湯は便秘薬というより腸の働きを正常化させる整腸剤に近い漢方薬です。そのため便秘だけではなく、下痢にも効果が期待できます。いわゆる即効性のある便秘薬ではなく、数日間服用を続けることで、徐々に効果が得られるタイプの漢方薬といえます。
桂枝加芍薬湯は1週間ほど連続使用しても効果が出ない場合は、体質や体調に合わない可能性がありますので、医師や薬局の専門家に相談するといいでしょう。
漢方における便秘に対する考え方
漢方医学の世界で便秘は、「気・水・血」に異常が起こっていると考えられています。つまり「水」の不足、「血」の異常、「気」の異常が問題であり、この問題を漢方成分で解消しようというものです。
「水」の不足は見たままで、便秘は水分の少ない便が固まって大腸の中に溜まることですので、水分は当然必要です。「気」についてはいわゆるストレスなどが原因です。「血」の異常は「お血」と呼ばれ、便秘に加えて肩こりや女性の月経不順など、血流に問題があるケースが中心です。
同じ便秘でも気、水、血のうちどの異常が大きいかを見定めて、症状に適した漢方薬を選ぶのが大切です。
まとめ
漢方薬でも、痛みを伴うことがあります。とくに便秘薬の場合は、漢方薬の成分でも刺激性下剤に分類される成分があるため、体質や体調によっては腹痛を感じる可能性があります。漢方薬なら安心と考えるのではなく、自身の症状や体調に合わせて正しい薬を選ぶようにしましょう。
のざき薬局では、漢方薬の専門スタッフがおりますので、お客様の症状に最適な漢方薬を提案できます。漢方薬のことでお困りでしたら、気兼ねなくご相談ください。
