LINE

酵素は阻害した方がいいこともある?医学にも用いられる酵素阻害剤について解説!

酵素は阻害した方がいいこともある?医学にも用いられる酵素阻害剤について解説!

酵素=健康にいい、というあまりにもざっくりとしすぎている認識が世間に浸透されつつあります。確かに酵素の働きによって生命活動を維持できているのは明確ですし、健康に寄与する作用ももちろんあります。ただ、場合によってはこの酵素の働きを医学的に阻害させて治療をする病気というのも存在します。時には酵素は阻害される方がいい場合もあるのです。今回はそうした酵素の機能を阻害する意味について解説します。

「酵素阻害剤」とはそもそも何なのか?

酵素阻害剤とは、簡単に言えば酵素そのものの分子に結合することでその活性を停止させたり、低下させたりする物質のことです。酵素と結合して活動を止めることからある種の拘束具のような働き方で、酵素の効能を抑制します。

毒性のある阻害剤もありますが、医薬品として用いられるものも多く、体内の代謝を正常化したり、シグナル伝達を適正な状態にしたりする際にも用いられます。

酵素とは、健康や美容の文脈では絶対正義のように取り扱われる傾向にありますが、医療の現場では必ずしも酵素がいいものとは捉えず、時に悪しき働きをするものとして、しっかりと抑制の対象にしています。

なぜかというと、酵素とは「身体内のあらゆる化学反応や生理作用を引き起こす触媒」というだけであり、その作用にはいいものもあれば悪いものもあることをちゃんとわかっているからです。

アレルギーでもそうですが、一見いい働きをしておるようでも過剰に働きすぎるせいでむしろ健康にとっては悪く働いてしまうような働きもありますよね。そうした過剰な働きを抑制する効果があるのが、酵素阻害剤なのです。

酵素阻害剤の種類とは?

酵素阻害剤には、様々な段階で働きかける(結合する)ことによって、タイミング別に種類が分かれるほか、可逆的、ないしは不可逆的なものがあります。

可逆的なものには、酵素・基質複合体に結合し反応の「進行を妨げる」基質阻害。基質と同じ部位に競合的に結合することで「反応開始を妨げる」拮抗阻害。基質と別の部位に結合することで反応の「進行を妨げる」非拮抗阻害。酵素・基質複合体のみの基質と別の部位に結合することで反応の「進行を妨げる」不競争阻害と言ったものがあります。

つまり、基本的にはその目的や仕組みはシンプルで、単に反応を進行途中で止めるのか開始自体を止めるのかといった多少のズレはあるものの、大体が「酵素の働きによって生まれる不調そのものを阻害することで症状を改善する」ことに重きが置かれているものです。

酵素阻害を医薬品として応用した例① : 非ステロイド系抗炎症薬

酵素というのはすなわち身体のあらゆる現象に作用する「触媒」ですから、いい働きをするものもあれば悪い働きをするものもあります。非ステロイド系抗炎症薬は、体内の炎症に対して幅広く効果のある薬ですが、簡単に言えば「酵素の悪い働きを抑制することで体調を改善する」という仕組みで効果を発揮します。

プロスタグランジン(PG)という物質は、体内で炎症や痛み、熱などを引き起こしますが、体内においてCOXという酵素などを元に生成されます。つまり具体的に言えば、この阻害剤はCOXの作用を阻害することでPGの生成を抑え、それによって炎症、痛み、熱を抑えるというものです。

非ステロイド系抗炎症薬には、そのままCOXの名を冠した「セレコックス」をはじめ、「ボルタレン」「ロキソニン」「アスピリン バファリン」などがあります。

酵素阻害を医薬品として応用した例② : ACE(エース)阻害薬

ACE(エース)阻害薬は、血圧を下げ、心臓を保護する作用のある阻害剤です。ACE阻害薬は、体内の血圧上昇、心筋肥大の原因となりうる「アンギオテンシンⅡ」という物質の働きを抑えます。アンギオテンシンⅡは、アンギオテンシン変換酵素(=ACE)の働きによって生成されるので、この薬はこのACEを阻害することでアンギオテンシンⅡが生成されることを抑制し、つまりは血圧上昇の働きを抑制し、結果血圧を下げるという仕組みです。

血圧を下げることによって、心臓、腎臓を保護する働きもあります。薬によっては心不全や糖尿病性腎症などに使用される場合もあります。

まとめ

以上、酵素阻害の仕組みについて、例となる阻害剤の紹介も含めて一通り解説しました。酵素は必ずしも働けばいいものばかりではありません。働くことで不調を招いたり、命に関わる重病を引き起こしたりする場合も多いのです。酵素だからとすべてを正義とせず、医者は冷静に仕組みを分析し、対処法を常に検討しているのです。

「のざき薬局」では、医師の処方箋による調剤のみならず、酵素を用いた発酵飲料や、バイオリンクなどの保健食品、漢方薬など西洋医学に限らない多くの品目を用意し、様々なアプローチで健康増進を図っています。対面販売を重視し個別の健康相談も受け付けていますので、ぜひ一度ご来店してみてください。

 
薬局で待たずに薬が受け取れます